前回に引き続き、マイニングエアプでTwitterなんかで恥をさらさないために筆者ができるだけわかりやすく、マイニングについての噂や話題に触れていきます。今回はだいぶディープな話もあるのでほんとに初心者の人は前回の記事を読んでくださいな。
今回は全部で3テーマ。私がTwitterで「マイニング」で検索し、「これはエアプだな」とか「これは勘違いしてない?」といった話題を集めましたので、マイニングに興味がある方は参考に、マイニングチョットデキル方は読み物として楽しんでくだされば幸いです。
かの国ではPS4/5でマイニングが行われている
一時期そんなニュースがTwitter界隈を賑わせていましたね。これに関しては完全なデマです。実際、あのニュースは実はFIFAというサッカーゲームのBOTを動かしていたという記事が出ています。
日本で言う「ソシャゲのリセマラで強いキャラがでたアカウントを売るBOT」といった感じでしょうか。
これ盗電していたから問題になっていただけで別に普通に電気代払っていれば捕まらなかったのではと思いますがどうなんですかね。
PS5は品薄状態で日本では手軽に買うことはできませんが、別にマイニング需要で買い占められているわけではありません。シンプルに足りていないから品薄なんです。
一昔前のゲーム機には国による利用制限いわゆるリージョンロックがかかっていましたが、PS5はリージョンフリー。つまり、日本で買ったPS5がアメリカでも中国でも自由に使えるわけです。
さらに行ってしまえば、日本はPS5が世界各国と比べても安い。消費税なんかを考慮してもかなり安いです。かるくディスクエディションの価格を比較してみると
国 | 現地通貨での価格 | 消費税 | 税込み日本円 | 交換レート |
---|---|---|---|---|
日本 | 49980 円 | 10 % | 54,978 | |
アメリカ | 499 $ | 10 % 小売上税(カリフォルニア) | 60,379 | 1$=110 円 |
ユーロ圏 | 499 € | 20 % (イギリス・フランス) | 77,844 | 1€=130 円 |
中国 | 3899 元 | 10 % | 72,911 | 1元=17 円 |
カナダ | 629 カナダ$ | 5 % | 56,798 | 1C$=86 円 |
韓国 | 628000 ウォン | 10 % | 69,080 | 1ウォン=0.1 円 |
超ざっくり交換レートで計算しましたが、日本だけ明らかに安いのがわかります。
PS5が全世界で定価で買えるようになったとしても日本のPS5をアメリカに密輸するだけで5000円稼げる計算です。もちろんそんなことは現実的ではないですが、このことがPS5品薄に拍車をかけているのは事実です。
ちなみに各国の仮想通貨の値段に送金手数料以上の差があるときにその差額を利用して稼ぐ裁定取引(アービトラージ)という手段があるのですが、これは話すと長いのでまた気が向いたら書きます。
ゲーマーの皆様から、親の仇のように嫌われているマイナーですが、これに関しては風評被害です。ゲーマーの皆様はPS5が買えないからといってマイナーを悪者にしないでくださいね。
Xbox やPS4/5が値段のわりに非常に優秀な処理能力を持っていることは有名な話ですが、これらの機器でマイニングができるようになるのはまだ相当先の話だと思います。数年前にやっとPS3がハックされエミュレータなどで遊べるようになった現代。PS4ましてやPS5がハックされマイニングプログラムを動かせるようになるのは相当先なのではないでしょうか?
私個人としてはPS4/5でマイニングできる方法があるのなら1BTC出すから教えてほしいくらいです。
イーサリアムがPOS化しても、他の通貨をマイニングすれば大丈夫
これに関しては私が書く以前にとても良く出来た記事があるのでこちらを載せておきます。ある程度知識のある方は日本でマイニングする上で役立つ知識を発信されているKOさんの記事を読んだほうがわかりやすいです。
ここではマイニングエアプの方や初心者の方のためにできるだけわかりやすく書きます。
結論から言うと
大丈夫ではありません。
なぜ、こんな勘違いが生まれるのかというと多分皆様このサイトを参考にして、収支の予想をたてているのだと思います。
こちらはminerstatというマイニングソフトを提供されているサイトが公表しているGPUごとの収支ランキングです。
これを見ると
「LHR版の3080とか3080tiとかで普通に収益でるじゃん。これならイーサリアム掘れなくなっても大丈夫だな」
と考える方もいると思いますが、全くの見当違いです。これはあくまで現時点での収益予想。つまり
ほとんどのGPUがイーサリアムをマイニングしている状態でごく少数の人が他の通貨をマイニングした場合の話
よく物の値段が決まるときに需要と供給の話を持ち出されると思います。実はマイニング報酬も需要と供給で決まります。
いわゆるディフィカルティと呼ばれるもので供給(ハッシュレート)が増えると価値(マイニング報酬)が減りますし、逆に全体の供給(ハッシュレート)が減ると価値(マイニング報酬)が増えます。
実際にイーサリアムのハッシュレート(計算力)は他の(GPUでマイニング可能な)暗号通貨と比べ100倍以上の圧倒的な差があり、イーサリアムは供給(ハッシュレート)の多い通貨であると言えます
次に需要の話。需要はこの場合だと通貨の取引料です。
知っての通りイーサリアムはビットコインに次ぐ時価総額第2位の暗号通貨です。取引量にいたってはビットコインを超える時もあり、NFTやユニスワップ、Defiなどのスマートコントラクト関係も含めるとイーサリアムは世界一取引されている暗号通貨であり、非常に需要の高い通貨だと言えます。
この状況から現在のGPUマイニングの需要と供給の全てはイーサリアムに集中していると言っても過言ではありません。
他の通貨の100倍以上の圧倒的計算力(ハッシュレート)が
世界一取引されている暗号通貨の
ブロックチェーンを支えている
この状況こそが現在のマイニングブームを作り上げているわけです。
では、ここでイーサリアムがPOS化した場合を考えてみます。
こちらはみんな大好きRTX3070での2021年8月下旬の通貨ごとの収益予想です。
イーサリアムがPOS化し、圧倒的な計算力(ハッシュレート)で他の通貨をマイニングしようとなった場合、この中のどれかをマイニングすることになるかと思います。
この中にイーサリアム並に取引されている通貨があるだろうか?
「ERG? R18美少女ゲームの略語かな?」
「ETC? 知ってる知ってる!イーサリアムの偽物でしょ。」
「ZANO?AE?ETP?」
どれもイーサリアムの十分の1の知名度も需要もない。どうしようもない顔ぶれです。RVN/KAWPOWは昔からマイニングやってる人の間では有名なくらいですかね。
いずれにしろイーサリアムの莫大な需要に代われる器ではありません。
こんな状況でイーサリアムの圧倒的な計算力(ハッシュレート)がこの器に流れ込んだら…。
考えただけで恐ろしいです。
いずれにせよ、イーサリアムのPOS化はマイニング業界の需要と供給のバランスをぶち壊し、マイナーを恐怖のどん底にたたき落とすことは間違いないです。
イーサリアムのPOS化によってマイニングブームは一度終焉を迎えます。しかしながら、それでマイニングが完全に終わってしまうかまではまだ予想が出来ません。
収益が見込めなくなり、企業が撤退したことで供給が減り、個人レベルなら電気代をペイできる程度ではマイニングが存続するのか
はたまた、奇跡的にイーサリアムに代わる通貨が現れ、莫大なハッシュレートの受け皿となるのか
POS化に猛反発したマイナーによってイーサリアムのPOS化が先送りになったり、POS化後もある程度の計算力(ハッシュレート)が要求されるようになったりするかもしれません。ただ、
「イーサリアムがPOS化しても、ほかの通貨をマイニングすれば大丈夫」
という甘い考えでマイニングを始めるとやけどでは済まない
ということを覚えておいてください。
クラウドマイニングで月利8%!!
私も実際に体験したわけではないですし、あまり人様のビジネスにとやかく言うのは良くないと思うのですが、自作PCの知識もなしにマイニングに手を出すのはあまりおすすめしません。
実際、マイニングで月利8%というのはありえない数字ではありません。他の儲け話なら十中八九詐欺ですが、ことGPUマイニングとHDDマイニング(Chia)は月利10%以上を本気で狙えます。
ただ、これが企業がお金を集めて代わりにマイニングするビジネス。いわゆるクラウドマイニングになると話が変わります。
確かに海外の安い電気代と北国の冷却能力、集中管理によるコストカットという売り文句は理にかなっていますし、日本でやるよりは利益が出そうです。
自分で機材を用意しなくても始められるため、ローリスクと謳うこの商売ですが、自宅にリグを置いてマイニングしているマイナーから見ればとてもハイリスクな投資に見えます。なぜなら
計算資源(GPU)を売却する事によって得られる利益を捨てることになるから
日本でマイニングをしている人が予想している利益というのが大きく分けて2つ。
①マイニングによって得られる利益。
②マイニング撤退時、計算資源(GPU)を売却する事によって得られる利益。
これら2つの利益の合計が最も高い時に撤退出来たやつが最も賢いマイナーなわけです。
上でも話しましたが、現在主流のGPUによるイーサリアムのマイニングはいずれ終焉を迎えます。
イーサリアムに代わる新たな通貨のマイニングで利益を出せるかもしれませんが、イーサリアムのPOS化とともに現状のマイニングブームは一旦終焉を迎え。計算資源(GPU)売却による撤退戦が始まります。
クラウドマイニングではこの②の利益である「計算資源(GPU)を売却する事によって得られる利益」をそのまま捨てることになります。その上で、計算資源(GPU)の代金分安いのかというとそうでもない。
これなら直接暗号通貨を買うか、マイニング企業の株を買うほうがいいかなぁと。
投資は自己責任、自己判断で行うべきですが、クラウドマイニングを検討している方はよく考えて行ってください。
話は変わりますが、Twitterで「マイニング」で検索すると
マイニングエク○プレス
ビットク○ブ
EV○SU
といった企業やサイトが目にはいりますが、これはクラウドマイニングではなくポンジスキーム。
いわゆる出資金詐欺です。
関わるとろくなことないので気をつけましょう。
まとめ
今回はかなりディープな話題も含めて3つのテーマで書きました。とくに2つ目のPOS化の話はマイニングやってる人でも難しい内容で初心者向け記事ではないなと反省しています。ですが、単発で出したほうがいいんじゃないかと思えるくらい気合いれて書いたのでわりと良い出来に仕上がったのではないかと思ってます。
また、今回の記事はマイニングチョットデキル方でも読み物として楽しめるように書いたつもりです。とくにPOSと撤退戦の話は「理解はしていたけど、改めて考えるキッカケ」になるよう意識しました。意見感想なんかをTwitterの方にもらえると嬉しいです。
今回でだいぶネタ切れなので次回の分はまたネタが溜まったら書きたいなと思います。
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